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SL応急部会の野外訓練に参加しました。

10月18日~19日神奈川県茅ケ崎市柳島キャンプ場で、災害救援ボランティア推進委員会の応急部会を中心とした、神奈川県内セーフティーリーダー(SL)の交流会とスキルアップinstructionの研修を行いました。集まってくださったSLは、今回の幹事役をお願いしました茅ケ崎の水島SLとざま災害ボランティアネットワークの活動から広がった仲間たちが中心でした。
 
 災害救援ボランティア推進委員会は、関東圏では最大の民間災害救援ボランティアの養成機関です。 ⇒ http://www.saigai.or.jp/
主として、神奈川、千葉、埼玉、東京で各種講座、訓練、研究会、講演会などを行っています。修了者にはセーフティーリーダー(SL)という呼び名が...与えられます。本年9月現在で約7,800余名のSLが認定されそれぞれの地域で減災・災害対応活動などに取り組んでいます。

 今回は、茅ヶ崎市柳島キャンプ場を使って、日ごろの活動報告や各人、各組織が持っているスキルの発表を行い、夜は交流会で3・11以降の災害に対する思いなどを交換しました。
 SLの参加者は18名でした。折から、伊豆大島での台風被害が発生し事務局からメンバーが先遣隊として現地入りしてあわただしい雰囲気のなかでの開催でした。

13時から17時、会員のペースに合わせて三々五々と集合し、テントの展開方法、調理準備、メニューの作成、材料の買い出しと各人が状況に合わせ判断しながら作業に取り掛かってゆきました。
 災害救援ボランティアの活動において大切なことは、リーダーのもとで大枠の活動計画の説明を受けて、各人が自発的にかつ、それぞれの状況に応じて連携しながらチームを作り、そこで小集団のリーダーを中心に活動するところにあります。
私たちは、警察でも自衛隊でもありません。あくまでも災害救援活動を目指すボランティアなのです。
場合によっては指揮者のもとで一糸乱れずに行動する場面もありますが、多くの場合は各人が持っている災害救援活動に対する思いの深さによって活動の方法は変化してきます。そこがボランティア活動の醍醐味でもあります。強制された苦役ではありません。

 このような気持ちを持ちあった仲間たちが、それぞれ活動を続けた結果、夕刻の17時30分夜の交流会が始まりました。自己紹介や活動の報告などを挟んで、長いテーブルの各所でそれぞれの活動や、思い、情報交換が行われています。各人が持ち寄った自慢の装備品が各所で威力を発揮して、高級レストラン並みの料理が目の前に並びます。特に、炊飯袋を使って炊かれたご飯をもとに、鮮やかな手さばきでチャーハンなどが出てきます。
これでいても災害時には限られた食料で活動をするわけです。だから今、食べることが出来るときに、飲み物があるときに飲んでおくのだという変な理屈で盛り上がってゆきました。
19時、日帰りのメンバーのために中締めをして20時30分、翌日の予定が発表され後片付けが始まりました。これとても、だれが号令をかけることもなく各人のスキルが次々と発揮されてゆきます。21時30分にはその場所は何事もなかったようにきれいに片付きそれぞれのねぐらに散ってゆきました。

 19日は、神奈川県内の市町の災害活動ボランティアで組織している神奈川災害ボランティアネットワーク(KSVネット)が県から委託を受けて行っている「災害ボランティアコーディネーター講座」の受講者に対する実技訓練のinstructionを、ざま災害ボランティアネットワーク(ZSVN)と横浜ボーイスカウトのS氏が担当し、指揮のもとで受講者の指導を行いました。実技課目は「人に教えることによって自分のスキルが向上する」と言われています。SLは各人のスキルに合わせて補助者として指導に参加しました。

 9時30分 コミニティーカレッジ受講生19名がそろい、まず「炊飯袋」による昼食の準備作業に取り掛かりました。初めて接する「炊飯袋」に怪訝な顔をする受講生もいました。この袋は中越地震の時多くの人々に給食を続けた実績のある優秀なグッズです。
次いで、何もない被災地に入って炊き出しの支援活動を行うという想定で、かまどを築いてそこで薪を使って炊飯作業をするという体験課目を行いました。
ところが、作業前の安全点検で、受講生の約1/3の方が「手袋」を持参してこないということがわかりました。ZSVNのM氏により「ボランティア活動の安全衛生」について話が行われ、軍手を持参しない受講者に配布しました。何よりも安全が最優先なのです。

 受講者は一輪車を使ってブロックを運搬して指定された場所にかまどを築きました。さらに「なた」を使って薪を割り新聞紙を使って火を熾すという作業を体験しました。その後の、炊飯作業はSLによって行われました。

 受講生は「ロープワーク」をじっくりと学びました。5種類の基本的な結び方、そしてその結び方の活用方法などについても体験をしました。
 次いで、ブルーシートを使った「三角テント」の作り方を学びました。このテントは災害時に一時(いっとき)休憩所、救護所さらには、避難所内の更衣スペース、授乳スペース、おむつ交換などの場所として使える有効な場所を創出する「技」です。小物を使って三角テントの入り口を固定する方法なども説明しましたが体験が少ない受講者には今一つピンとこなかったような感じもしました。

 11時30分。いよいよ、災害食の給食の体験をします。限られた水の供給の中、ごみの回収も望めない災害地の中で給食をする方法を学びました。これらの、ノウハウはZSVNの開発した方法です。

 休憩後、空模様も怪しくなってきましたので少し時間を早めて、応急手当特に、三角巾法、簡易搬送法の訓練を行いました。一般的に上級救命講習でも、CPR訓練は時間を掛けますが、三角巾は軽くみられます。
確かに三角巾のある家庭は少ないですが、このような災害救援活動を目指す者は常に携行する位の気構えが必要だと思います。シーツや毛布を用いた傷病者の搬送も体験しました。声掛けを行いながらお互いの動作を確認しながら共同で行うという気持ちが大切であるということが説明されました。

 最後に、S氏の3・11災害を通じて感じたことについての話がありました。とにかく、自分の身、家族の身をきちんと守って初めて災害救援という考えが始まるということから、備蓄の強化について力説されていました。総括をコミニティーカレッジ担当者のU氏がまとめ、全員で使わせていただいたグランドの整備をして解散しました。

 SLの皆さんは1泊2日という長時間にわたる訓練、コミニティーカレッジの運営のサポートをしていただきましてありがとうございました。
大島の被災状況がはっきりして、災害救援ボランティア活動の要請がありましたら、出来ることを、出来る範囲で、出来るだけという身の丈の活動へのご協力をお願いします。