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協働事業 避難所開設職員研修を行いました。②

 休憩をはさんで、避難所受け入れをイメージする訓練「避難所運営ゲーム(HUG)」をしました。参加者を4グループに分けて、避難所に見立てた模造紙や教室、校庭などの校地図を広げて準備をします。カードには避難者の状況が記入されています。住所、氏名、年齢、被災状況、負傷の有無、家族の状況などが掛かれたカードが各グループに渡されます。読み手の人がそのカードを読み上げてほかのメンバーは受付の最前線に立ったつもりで体育館の空間のどの場所へ配置してゆくかを考えるですゲームです。様々な条件があります。どのように配置すれば避難者が安心して生活できるかということをイメージする訓練なのです。ゲームの途中に災対本部から様々な指示が入ってきたり、周辺の住民からの依頼が舞い込んできます。そのような外部からのさまざまな条件が出る中で受け入れ作業をどのようにしてゆくかが試されるのです。

約70分間、真剣に取り組んでいました。

 

 その後、ゲームの総括を行いました。私からは、災害という状況のイメージが漠然としており平時の感覚での判断がなされているような感じがする、例えば、濡れた衣類で避難してきている避難者(子供)に何の処置もせずに場所だけをきめたり、けがをしている人に対して何の処置も施さずに部屋に入れるのはおかしいですね。また、ちょっとした怪我なのに救護室である保健室へ入れたままにするのはおかしいですね。人手が足りないと思っているのはわかります。ゲームの途中で私が、「使える人材を確保することが大事である」と申し上げたことはこれらのことなのです。何よりも職員3人で出来ることではなく、ゲームの途中で避難所運営委員会を立ち上げたのだから彼らを活用する考え方を示さないとうまくゆかないということを指摘させていただきました。避難所の開設は行政が担当するが、初動期を乗り越えてある程度走り出したら「運営」は避難者自身の課題になるということを理解して欲しいということを話しました。

 

 外は暗くなり始めました。ここで、休憩となりました。職員研修は勤務時間という壁があって、途中で休憩が必要となるのがちょっと違和感を感じます。訓練なのだから、休憩時間を時間調整で処理することも考える必要があるのではないかと思うのですが・・・。

 

 休憩時間は、職員は温風暖房機の前で過ごしていました。

 

 休憩時間終了後、外に出て、発電機の操作訓練を行いました。この開設訓練が午前9時から行わない理由の一つが、夜間の暗さのを体験しどれだけ活動が大変なのかということを体感してもらうためでもあります。

発電機を触ったことがあるという職員はほとんどないのではないかと思われます。起動操作、エンジンをかけて回転数を調整して照明をつける。停止操作を体験するという一連の動作は必ずできるようにしておきませんと困ると思います。

 私たちが心配しているのは座間市は避難所に発電機が1機しかないということなのです。電気がなくなれば体育館内は真っ暗になります。たまたま今日は、外の街灯がついていましたが、町中が闇になるのです。そのことをイメージしてほしいのです。トイレは外に設置されます。館内に照明が使われたらトイレ周辺は暗闇になります。

 懐中電気を持って避難する避難者はそれほど多くはありません。これは過去の災害でも指摘されています。

各家庭にいくつかの懐中電灯はあるはずですが、残念ながらその多くは、倒れた家具や棚などの下に入り込んでいて探し出せない、非常用袋の中の懐中電灯は電池が消耗しているというのが実情です。

 そのようなことを考えると各避難所には追加で最低でも2機の発電機を、応急救護所が開設される避難所には専用の大型の発電機が必要になると思います。

 二次避難所も同じです。酸素吸入や吸引機などの電源はどうなるのでしょうか?そんなことを感じました。

IT化が進む中で、新しいしデジタルシステムが導入される可能性は多くなります。その全てには電気がつきものです。電気の復旧は比較的早いとされていますが、首都直下地震の時にはその期待は甘いと考えます。

 

 政府の方針は中枢機能の再建が最優先となるわけです。となれば、復旧に必要な人、物は首都に集中せざるを得なくなります。そのことは座間市のような規模の小さな自治体には回ってこない危険性があるのです。

仮に電気があっても自衛隊、米軍などが優先的に回せざるを得なくなると思います。非常用発電機だって永久ではないのです。その点をもう一度見直す必要があると思いました。

 

 いよいよ、災害食の配食、給食となります。研修の初めに炊飯袋に仕込んだ「米」は袋の中で「ご飯」になっています。手指を消毒して、炊飯袋をはさみで裂いて、ご飯を薄いビニールの袋の中に入れて「ふりかけ」をかけてそのままおにぎりにします。この方法が「災害食」の代表的な食し方です。今回はスペシャルバージョンの味噌汁が付きました。温かい湯気の立つ味噌汁と手作りのおにぎりの風食を食べました。体育館の中の照明は落とされて発電機の明かりの中での食事はいかがでしたでしょうか?

 

 現実の災害時に、職員はこのようなゆったりとした食事時間はありません。おにぎりでなく、ご飯に味噌汁をかけて掻き込んで終わりということになると思います。そのようなことをイメージしてくださったかはわかりませんがそれが災害というものなのです。

 

 食事を終えて、体育館内に入り研修のまとめに入りました。

初めに私から、これはあくまでも訓練であること、実施にはもっともっと騒々しい中で一番つらい思いをしながら受付作業を担当していただくことになると思います。だからと言って逃げることはできないわけです。様々な人と会うことになるわけですが、常に緊急性、重要性という判断の秤を持って「最良」なことはできないが「最善」のことはしてほしいと思います。行政職員は最前線に立つわけですのでご苦労は多いことは十二分に承知していますが、やらねばならないことはやるしかないという思いで取り組んでほしいと思いますという話をして終わりにしました。

 

 今回の研修生は非常に熱心でした。研修の初めに安全防災課の職員から説明がありましたが、災害が発生したら避難所職員だけが参集するのではなく、その時には、全職員がそれぞれの場に配備されることになるわけで決し貧乏くじを引いたと思わないでほしいということです。また、座間市は、担当職員のみならず交代要員の養成も計画しているとのことの話もありました。

 

 最後に、昨年秋に座間市に配属されました、危機管理課長のT氏から話がありました。災害のイメージを持って勤務してほしいということでした。何よりも現実の災害が起きれば即実戦となります即応体制はイメージトレーニングを重ねる他、方法がないので今後とも機会あるごとにHUG訓練などを積み重ねることでスキルアップを。重ねて欲しいということでした。

ざま災害ボランティアネットワークのメンバーの方々も夜遅くまでご苦労様でした。

これで、今年度の協働事業は3月15日の体験型減災・災害対応訓練だけとなりました。あと一息です。